「経営者視点を持て!」という言葉は暴論

LINEで送る
Pocket

私の個人的な極論を申し上げると、「経営者視点を持て!」という会社ほどブラックである印象が強い気がします。

経営者視点を持つ。


この言葉自体は大賛成なのですが、人に何かを要求するならその対価を支払わなければいけません。

例えば、「作業員の立場でも経営者視点を持ってくれ。その代わり、業績が向上したらたんまりとボーナスを払います。給料も上げます。全社員が経営者視点を持ってコストを削減してくれればその分、あなたたちの給料に反映します」と述べている企業は良いです。

こういう会社は「社員や作業員に経営者視点を持つことを要求する代わりに、対価を払う用意を整えている」から良いのです。

ただ、「経営者視点を持て!」の一言のみで従業員に経営者としてのマインドを身につけるのはかなり非現実的です。

雇われの身で経営者視点なんて持てるわけがないですよ。

誤解を招かないように言わせて頂きますが、私は会社勤めの方やサラリーマンをバカにしているわけではありません。

「雇われている身分で経営者視点を身につける」というのが実現不可能な話であることを主張したいのであり、本当に経営者視点を身につけさせたければ経営者の立場に身を置くのが1番良いという事実をお伝えしたいのです。

例えばサッカー監督として活躍したければ、サッカーの戦略を徹底的に分析したり、マネージメント能力を身につけたりする必要があります。

これが用具係の立場として働いていたらどうでしょうか?

用具係に求められる能力は「用具をキチンと用意したり、用具をしっかり管理したりすること」です。

用具係としてのスキルと監督としてのスキルは別物で、用具係の立場に身を置いている人間に対して「サッカー監督としての視点を持て!」と要求しても滅茶苦茶な暴論であることが理解できるでしょう。

そもそも全ての作業員が経営者になることを望んでいるわけではありません。

作業員は作業員としての仕事を行えば、それだけで十分だと思っています。

なぜなら会社は「作業員としての労働力」を確保するために作業員の立場で人を雇っているのですから、経営者視点を持たせたければそれ相応の待遇を与えるべきです。

それに「経営者視点」というものは自分でビジネスを行なったり、会社を経営したりしないと身につかないと思っています。

例えば株式投資を行なっていない人が「投資家視点」を身につけることができるでしょうか?

投資に詳しくない人が知ったかぶりで株について語っていることを何度も見かけたことがあります。

「ロスカットは大切だよね」

「損切りラインを定めないとダメだ。人生も同じ」

「株が上手い人ほど損切りがしっかりできる」

などなど、どこかのサイトや本で読んだような意見を鵜呑みにして「当たり前のことを真実のように語っているだけ」というパターンが目立ちます。この人達は「損切りは大切」と言いつつ、「損切りをしないで儲ける手段」は全く考えていないのです。

言葉の表面上だけを鵜呑みにして投資について語るから滅茶苦茶意見が浅いんです。

何が言いたいかというと、結局「独自の視点」というものはその立場に属さないと得られないものなんですよ。

 

サポーターがプロサッカー選手としての視点を身につけることはできません。

プロで活躍していないから。

水泳選手がプロバスケ選手としての視点を身につけることはできません。

バスケットボールをやっていないから。

デイトレーダーが長期投資家の視点を身につけることはできません。

長期投資を行なっていないから。

全て当たり前のことなんです。

それなのになぜ、「経営者視点を持て」と堂々と言える人が多いのかが非常に謎です。何度も言いますが、経営者視点を持たせたければ経営者と同じ待遇を用意するか、実際にビジネスをやらせてみるのが1番良いんですよ。

仕事を手渡して、「はい、この仕事が今日の君のノルマね」と言われている人間が経営者視点なんて絶対に身につくわけがないです。

「作業員の立場として雇用しているのに、経営者視点を持たせようとする経営者」は自分が無茶苦茶なことをしている事実に気づいていないのです。

将来起業する予定があったり、独立したいと望んだりしている人に対して経営者視点を学ばさせるのは効果がありますが、それ以外の人に無理やり経営者視点を持たせようとしても大抵失敗します。

自分の都合ばかり優先して無理難題を押し付ける企業は投資先として本当に魅力的か、1度しっかり考えることをお勧めいたします。


スポンサードリンク