拡大戦略より生存戦略を重視するべきではないか

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多くの経営者は「生存戦略」ではなく、「拡大戦略」を重視しています。

 

「ベンチャーは守りに入ってはいけない。拡大こそが会社の力を増す道であり、常に拡大を意識した戦略を実践するのが重要だ」と、鼻息荒く語る経営者も多くいらっしゃいます。

 

本当にそれが正しいのでしょうか?

 

私は全く別の考え方を抱いています。

「拡大よりまず生き残ることを考えようよ。拡大戦略が失敗したらどうするの? 死ぬの?」と疑問を抱いています。


ベンチャー企業を発足するときはスタートアップ時に銀行から「融資」を受け、迅速に事業拡大を成し遂げるために借金することが大変多いです。

 

勿論この借金は大抵社長が連帯保証人になっています。

「会社が倒産したら経営者に返済責務はない」というのはほぼありえない状態です。

確かに会社の名義だけでお金を借りた場合、会社が倒産したり破産したりすればお金を返す必要はありませんが、そんな条件で融資してくれる銀行なんてほとんど存在しないですよ。幻想ですよ。夢見てるんじゃねえよ。

 

「事業の失敗=経営者個人の借金になる」のが今の日本の現状になります。まあ、最悪の場合自己破産するという手段も残されていますが……。

 

銀行の立場になって考えたら分かりやすいです。

 

設立5年までに85%の会社が倒産する中、なぜ銀行はベンチャー企業に融資を行なうのでしょうか?

なぜ、銀行が「連帯保証人、担保なし」で融資してくれるのでしょうか?

銀行からすれば「いつ死ぬか分からないベンチャーに対し、連帯保証人や担保もなしにお金を貸したくない」のですね。銀行もビジネスで金貸しを行なっていますから、危険な融資は避けたいのです。

「会社は会社の債務だから、万が一倒産しても経営者には借金が残らない方法で融資を受ければ良い」と言う人もいらっしゃいますが、そんな甘い条件でいつ死ぬか分からないベンチャー企業に融資してくれる銀行なんてほとんど存在しませんよ。甘い考え抱くなよ。

 

「スタートアップ時の借り入れは悪いことではない。事業を拡大させたければ借金した方が効率的なことも多々あるし、上手くいけば事業拡大を迅速に成し遂げることができる。むしろ借り入れしない方がリスクだ」と述べる経営者もいらっしゃいます。

 

この言葉、何気に一理あります。

 

お金がないよりはお金があった方が有利ですし、「借金を活用して事業拡大を成し遂げた方が効率的」というのも正しいです。しかし、この意見は全て「成功すること」を条件に述べている理論で、「失敗したらどーすんの?」という考えは全くありません。

 

「やる前から失敗することなんか考えるな! そんなこと言っていたら起業なんてできねえよ! 守りばかり重視している奴は大きいことを成し遂げることはできないし、そもそも経営者に向いていない」という感情的な意見も存在します。

拡大・成長戦略を熱く語るのは見ている側からすると心地良いです。


最初から守りに入らず、「ビックマウス発言」を連発して誰かをその気にさせて、「無謀な拡大戦略」を継続するのは実に気持ちの良いことでしょう。

 

何度も言いますが、上手くいかなくなったらどうするのですか?

 

自己破産するのでしょうか?

死ぬのでしょうか?

経済的困窮が原因で自殺するケースは大変多く、起業で失敗したら経営者は死ななければいけないのでしょうか。

 

「そもそも銀行の借り入れをする必要はない。VC(ベンチャーキャピタル)に投資して貰えば問題ない。VCから資金調達すれば返済する義務はないから。エンジェル投資家を募れば拡大戦略を実施することができる」と真顔で述べる人もいらっしゃいます。

 

あの、日本でエンジェルとか、VCがつくベンチャー企業なんてほとんどないですよ。2012年のデータによると日本には385万もの中小企業が存在しますが、その中でエンジェルやVCから出費して貰った会社なんてほとんど存在しないですよ。

ソース http://www.meti.go.jp/press/2013/12/20131226006/20131226006.html

 

現実的に考えて明らかに厳しい手段をドヤ顔で「現実論」として語って貰っても非常に困るのですね。

 

そもそも成功する可能性の高いビジネスや、失敗する可能性が低いビジネスは「融資を受ける必要もなければVCの出費を受け入れる必要もない」ので、借金したら上手くいくというのは幻想だと思っています。

 

大体融資を受けたらお金を返済しなければいけませんし、本当に上手くいくビジネスならVCに株を売らない方が良いです。後に上場したり会社規模が高まったりすれば、創業者の持株比率が高ければ高いほどリターンが大きいですから。

 

結局VCやエンジェルが「投資したい」っていうのは、「よほど成長力が期待できる事業」か「失敗する可能性が極端に低い事業か」のどちらかに限られるんですね。

それ以外の理由で投資したらただのバカです。

経営者の素質という面も重要ですが、そもそも頭のよろしい経営者はVCの支援を頼らなくても成功できるビジネスモデルを生み出すはずです。

 

株式投資の話をしましょう。

 

株式投資というのは人の性格がモロにでるジャンルで、「株を始めた瞬間から信用取引を行ない、ハイリスクを狙いながらハイリターンを得ようとする人」も少なからずいらっしゃるのですね。

こういう人の投資手法は否定しませんが、完全なギャンブルです。

自分の資金の範囲内で株式投資をすれば借金を抱える必要はないのですが、信用取引に手を出したら下手したら借金を背負うことになります。大体株式投資に絶対はないので、「ハイリスクを覚悟した上で信用取引を行なう」のは無謀だと思っています。

 

「当たればデカい。だから起業する際も資金を借り入れるし、事業が成功したら借金を返済すれば良い」と考える経営者がとても多いです。

 

私は真逆の考え方なんですね。

 

「スタートアップ時に借金するな。そもそもお金を借りなきゃ実施できないビジネスなんて、やらない方が良い。自己資金の範囲で手を出せるビジネスに挑戦するべきだ。その方が生存率が高い」と考えています。

 

創業して5年で85%の会社が倒産する事実を直視してください。


85%の会社が倒産するのは「事業を継続できなくなったから」です。

事業が存続できない理由は単純で、「資金がショートしたから」というのが1番大きいのです。

要するにお金がなければ事業を続けるのは無理なんですね。

赤字になり、銀行からの借り入れも実施不可能になった会社は倒産するしかないですよ。お金がなければ何もできません。これは紛れもない事実です。

 

私は株式投資から以下のことを学びました。

「負けなければ良い。負けなければその時点で勝ちだ」

株式投資の敗北は「損失を出すこと」です。要するに損失が確定した瞬間、その取引は「負け」になるのです。極端なことを言えば損失を出さなければ勝ちなんです。

ビジネスも同じで、「損失を出さなければ勝ち」なんですよ。

支出を最小限に抑え、銀行から借り入れする必要のない小資本のビジネスを続ければ負けることはほとんどありません。

 

私が重視しているのは生存戦略です。

とにかく生き延びろと。

85%の会社が5年以内に倒産するのは事実だから、残りの15%になれと。株式投資でも90%の個人投資家が敗北しますが、10%の枠に入れば勝てるんですよ。

「負けない戦略」を実施し続ければその枠に入れるんですよ。

これが私の述べる「ビジネスの生存戦略」になります。

 

1,スタートアップ時に借金は絶対にしない。全て自己資本の範囲で行なう。

 

2,支出は極力抑える。極端な話、支出がゼロだったら毎月の利益が1円でも黒字だ。赤字を出すのは絶対に避け、とにかく黒字を維持する。

 

3,そのための方法論が発展途上国でビジネスを行なうこと。物価の安い発展途上国は支出を抑えるのに効果的。発展途上国で日本向けビジネスを展開すれば、よほどアホなこと(過剰な浪費、無謀な拡大)をしない限り赤字にはならない。

 

4,利益は分散する。ビジネスでの収益がゼロになる可能性も踏まえた上で、株や利息といった「不労所得」で生活する。最悪の場合、不労所得のみで生活が成り立つ環境を築く。

 

5,生存戦略の最大の弱点は「初期の拡大力」に期待できないことだが、黒字経営を維持して資本を強化し、無理のない範囲で成長を成し遂げる。持続的成長を意識し、日本企業には真似することができない「超ローコスト経営」を通じて優位な立場に身を置く。

 

6,ブランドの強化に努める。ブランドを築くのは時間がかかり、自分という存在を世間に認知して貰うのも時間が必要になるが、「時間をかけて築いたブランドは崩れにくい」という性質を利用して長期戦に徹する。

 

7,赤字が出ないビジネスを実行する。毎月の維持費がほとんど発生せず、普通に行なっていれば黒字にしかならないビジネスに徹底的にこだわる。(例、サイト運営ビジネス)

 

8,長期戦を行なうのだから、需要が絶対になくならない業界に参入すれば良い。株というジャンルは資本主義社会が崩壊しない限り絶対に存続する。Facebook専門家やTwitter専門家といった「いずれ無くなる可能性のあるフロー型業界」には参入しない。

 

現在、上場しているほとんどのベンチャー企業が「拡大戦略」を実施しています。

私はこの流れに真っ向から立ち向かい、「負けないことを最優先したビジネス」を実行したいと考えています。

 

私が尊敬する未来工業の創業者、山田昭男さんは「他の人と同じことをするな。他人と同じことをしても儲からないし差別化できない。差別化しなきゃ競争で負けてしまうよ」と、様々な媒体を通じて持論を述べていました。


出典 business.nikkeibp.co.jp

この意見、私は本当に正しいと思うのです。

 

拡大戦略を通じて一か八かの大勝利を狙うか、生存戦略を徹底して「生き残り」を重視するか、採用する戦略は人によって異なります。

 

「一発当てれば問題ない。一発当たれば上手くいく」なんていうのは、ほとんど上手くいかないですよ。

大抵一発も当たらないので。

私の述べる生存戦略が立派だと語る気はさらさらありませんが、「会社は存続することが1番難しい」という事実に目を向けなければいけないと思っています。

 

差別化しなければいけない。「数少ない勝利者」になりたければ差別化を強く意識し、理論的に有効だと思われる戦略を実施するのが1番良いと考えています。

昔も今も「差別化戦略」の強みは変化することはありません。どの企業も差別化に成功しているところは強く、それ以外の会社は価格競争が起こればいずれ衰退する運命を背負っています。

株を分析するときも「ローコスト経営、差別化」という部分に注目し、「生存率が高いビジネス」を行なっている会社に投資することが重要になります。


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