短期の成長には期待できないプロスペクト(3528)の長期戦略

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本業が忙しくてプロスペクトの記事を更新することもなかったのですが、ちょっとプロスペクトの長期戦略に関して私見を述べさせて頂きます。

東証二部に上場しているプロスペクト(3528)は太陽光発電による売電事業を開始しました。



プロスペクトはソーラー事業に対する事業資金を18億3300万円投資すると述べています。

ソース 転換社債型新株予約権付社債に関する資金使途変更のお知らせ

多額の資金をソーラー事業に使用するプロスペクト。この資金の流れを見る限り、プロスペクトの企業理念である「長期的な視点から見る将来の可能性の展望」という方針には間違いはないことが分かります。

というのも太陽光発電事業は長期的利益が期待できる事業であるからです。

正直に申し上げて太陽光発電というものは「短期的な収益には期待できないけど、長期的に利益を上げるのに向いている事業」だと判断することが言えます。逆に言えば短期的には爆発的には儲からないので、プロスペクトは短期の利益はあまり重視していないことが分かります。

それゆえに短期の成長には期待できないというのが正直なところです。

太陽光発電事業といっても資産運用に近い業種です。プロスペクトは不動産の取り扱い業務やアセットマネジメント事業をメインに行なっている会社ですが、これらの業種には最大級の弱点が存在します。

それは利益が安定しないという点です。

金融業務や不動産事業はとにかく利益が安定しません。市況の変化によって大打撃を受ける可能性は大いに残されており、この業界構造は変革のしようがありません。

だからこそプロスペクトは太陽光発電事業に力を入れているのだと思います。

太陽光発電事業のデメリットは短期の収益力には期待できないこと。しかし、長期的利益を得ることができるのでプロスペクトの「景気の悪化に弱い」という弱点を見事に補う事業であることは疑いの余地はありません。

プロスペクトの行う太陽光発電事業の収益は36 円/KWh(税抜・20 年間固定)

太陽光発電はもう完全に終わっている業界なのでこの先もほぼ確実に売電価格が減少することが予想されます。しかし、プロスペクトは36 円/KWh(税抜・20 年間固定)という条件をクリアしている点は見事です。

参考URL

買取価格32円/kWh時代、高収益を生む太陽光発電とは ~発電ビジネス成功の秘訣~

簡単に解説すると、この買取価格はとても良いということですね。36 円/KWh(税抜・20 年間固定)であれば太陽光発電事業は「長期にわたって利益を出してくれる事業」として活躍することが見込まれます。

今更太陽光に参入しても遅すぎるのですが、36 円/KWhの条件で売電するのであれば上出来と言えるでしょう。プロスペクトが多額の資金を太陽光につぎ込むのも分かります。

ただ、これらの戦略を見る限りやはりプロスペクトは短期の成長には期待できないと思いました。

そもそも短期の成長を望むのであれば技術革新が見込めるベンチャー企業に投資した方が良いです。例えば薬を開発している会社やマザーズ上場の研究開発型企業とかですね。プロスペクトはそれらの企業とは性質が全く異なります。

プロスペクトが取っている戦略はとにかく弱点を補うこと。

プロスペクトは多角化経営を目指しています。この多角化経営の利点は「リスク分散」という部分ですが、逆に言ってしまえば成長力が悪くなってしまうのが欠点です。(効率という意味では成長事業のみに資金を注いだ方が良いですからね)

多角化経営とストック型収入の太陽光発電事業の注力は私としても大賛成ですが、これらの戦略は「リスク分散」という意味では秀でていますが、経営資源も分散することになるので驚異的な短期の成長力には期待できません。

太陽光発電事業に力を入れている点からそれは分かりますよね。

従って現在のプロスペクトには爆発力がありません。あくまでも長期的利益を追求し、資金調達ができた段階でM&A戦略を実行するという形なのでしょう。

この戦略は攻守のバランスが整っている非常に優れたものですが、M&A戦略を実施しない限り短期の成長は難しいでしょう。

大規模な成長を成し遂げたければ買収は必要不可欠です。

私はM&A信者です。日本もアメリカも大きな成長を遂げてきた会社の大半はM&Aを行ってきました。

8兆6000億円の売上高を上げている天才孫正義が率いるソフトバンクグループ(9984)

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出典 www.bloomberg.com

エリート電通マンが揃い、広告業界の王の座を堅守している電通 (4324)


出典 www.dentsu.co.jp

買収した企業は全て黒字。M&Aの失敗は一度もなしと豪語する永守社長が率いる日本電産 (6594)


出典 kigyoka.com

これらの企業に共通しているのはM&Aを通じて成長を遂げてきたことです。

プロスペクトは2015年現在、M&Aを行っていません。その代わり太陽光発電事業に資金を投入しているのですが、これは「長期的な利益を重視した結果」です。

決死覚悟の精神で大型買収を実現するよりも、より安全にリスク分散をするという意味を込めて太陽光発電事業に資金を投入したのでしょう。この方針は人によって意見が異なります。

攻撃的ではない。あまりにも守りに入りすぎているという意見。

リスク分散が上手くいっている。長期利益の追求は嘘ではないという意見。

どちらも正しいのだと思います。

今までの行動を見る限り、プロスペクトの「長期的な視点から将来の可能性を展望」という理念に沿った戦略を取っているのだと感じます。

長期的利益を追求することは短期的利益を捨てること。これが短期利益を求める株主にとって我慢できないのは確かだと思います。だからこの会社は批判が根強いのです。

あと、最後にプロスペクトの不満点を述べさせて頂くと、グループスローガンである「チャレンジ(挑戦)&アンビション(志し)」なんて全然できていないですよ。

太陽光発電事業の参入なんて挑戦でも何でもありません。これはただのリスク分散事業であり、長期的利益を望んだ戦略だから「守りの戦略」です。

孫子の兵法で有名な言葉を一つ挙げさせていただきます。

「勝ち戦は防御から始まって、攻撃で終わる。その逆は敗北である」

勝つことを目的とするのであれば防御から始めなくてはいけません。負けないことに徹さなければ勝つのは不可能です。プロスペクトが守りを固めているのも次の勝利を狙っているためでしょう。だから長期的利益の追求という理念は嘘ではないと感じるのです。

「新たな価値の創造・極大化を目指す」という点は今のところ全くできていませんが、守りから攻めへと転じるときに初めてプロスペクトのM&A戦略が効力を発揮するのでしょう。


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