日本では敵対的TOBの成功確率は低い【豊商事のTOBについて】

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日本では敵対的TOBの成功確率は低いです。

日本では、敵対的TOB自体2000年以降成立した例はありません。私の知る限り上場企業同士の敵対的TOBで成功したケースを聞いたことがなく、プロスペクトが今回仕掛けた豊商事に対するTOBも従来の常識で考えれば成功確率は低いのです。成功例がほとんどないのですから。

>これまで日本においてなされた敵対的買収の例としては、以下のものがある。

村上ファンド v. 昭栄(2000年)
買収は不成立。昭栄は後に、村上ファンドが提案していた不動産の有効利用などを実施した。昭栄#日本初の敵対的TOBも参照。

スティール・パートナーズ v. ユシロ化学工業(2003年)
買収は不成立。剰余金を配当金として拠出し株主価値を向上させる事によって既存株主の協力を得た。

スティール・パートナーズ v. ソトー(2003年) 
買収は不成立。剰余金を配当金として拠出し株主価値を向上させる事によって既存株主の協力を得た。

夢真ホールディングス v. 日本技術開発(2005年) 
買収は不成立。買収防衛策導入済みの企業に対する買収提案で注目を集めた。

ライブドア v. ニッポン放送(2005年) 
ニッポン放送の経営権問題#鹿内後の混乱 敵対的な企業買収を参照。

楽天 v. 東京放送(2005年) 
東京放送#TBS株をめぐる動きを参照。

村上ファンド v. 阪神電気鉄道(2005年) 
買収のターゲットとなった後、阪急ホールディングスとの経営統合を発表し、鉄道業界再編に繋がった(現:阪急阪神ホールディングス)。

ドン・キホーテ v. オリジン東秀(2006年) 買収は不成立。事業拡大を目的とした買収提案だった。イオンを含め三社の提携で落ち着いた。

王子製紙 v. 北越製紙(2006年) 
2006年5月ごろより水面下で北越側へ打診するも、北越側は応じなかった。その後北越は三菱商事に対する第三者割当増資を発表した。王子製紙は2006年8月に第三者割当増資の実施の有無に対応した価格でのTOBを発表。両者の主幹事であった野村證券が王子側のアドバイザーになったことも注目された。これは提案公表時の市場価格を3割程度上回る価格での公開買い付けを行うなど既存株主へメリットがあることを指摘しての提案だったが、北越製紙の取締役らは同意せず、三菱商事以外にも日本製紙が介入したこともあり、王子製紙はTOB成立を断念した。

スティール・パートナーズ v. 明星食品(2006年) 
スティール・パートナーズは、10月27日に明星食品に対して公開買付けを開始したが、その後日清食品による友好的TOBが実施されたこともあり、スティールのTOBは失敗に終わる。その後、スティールは日清のTOBに応札している。

スティール・パートナーズ v. ブルドックソース(2007年) 
スティール・パートナーズによる株式公開買付期間中の6月24日に開催された定時株主総会において、買収防衛策の導入が特別決議により承認された。対するスティール・パートナーズは東京地裁に対し、買収防衛策としての新株予約権無償割当ての差し止め仮処分の申立てを6月13日に行ったが6月28日却下、同日即時抗告している。

出典 http://mamaster.blog112.fc2.com/blog-entry-11.html

ご覧の通り、過去の事例を分析してもほとんど失敗しているのです。

日本では敵対的TOBの文化が定着していないので、成功する可能性も低いと予測するのが普通です。

プロスペクトが仕掛けた豊商事に対するTOBもプロレスでなければ「敵対的TOB」になるでしょう。当初はプロスペクトが友好的な文面を載せていたので友好的TOBだと分析していたのですが、ここにきて豊商事が反対の意見を出した辺り、やはりこれは敵対的TOBに分類されると認めるしかありません。(これがプロレスではなく、ガチンコだったらの話です)

そもそもガチンコである場合、いきなりTOBを仕掛けるのは「敵対的TOB」に分類されるのですが、私が有効的TOBだと述べていたのは「プロスペクトが出したTOBの内容が両社にとってメリットが大きく、豊商事に気遣っている」という点と、「プロレスに見える」という点を評価していたからです。

これが本当のガチンコであれば完全な敵対的TOBになりますが、プロレスかガチンコかは関係者にしか分かりません。

何度も言うとおり、従来の事例を分析すると敵対的TOBの成功確率は低いです。そうであるのならば今回プロスペクトが仕掛けたTOBも失敗すると予測するのが普通でしょう。

しかし、今回の豊商事の行動は本気で理解できない。

豊商事はTOBに反対の立場を取りつつも、「当 社は、現時点において、本公開買付けに対して、いわゆる買収防衛策の導入等を行う予定は ありません。」と述べています。

ここが理解できない。

本気で反対しているのであれば買収防衛策は絶対に取るはずです。

上場廃止基準に引っかかる可能性を踏まえると自社株買いは無理でしょう。だとしたら大幅増配を行うしかありません。しかし、大幅増配を行ってキャッシュを外部に流出したら次のTOBに対処できなくなります。

更に言えば豊商事は今まで赤字経営を続けていた企業であり、安定収益が確保できる企業ではないのは誰の目から見ても明らかです。だから莫大なお金を貯め込んでいるのだと分析しています。

豊商事は安定経営を実現している会社ではないのです。

しかし、現実的に買収防衛策を実施しないとTOBに対処できないのも事実。大株主に「当社の株をプロスペクトに売らないでください!」と頼むことは可能ですが、今まで6年間も株価が横ばいを続けていた会社に期待する人はどれだけいるのでしょうか。

しかも買収防衛策を取る予定はないと言った以上、豊商事が株主還元を積極的に行うわけではないと判断するのが普通でしょう。

そんな状態で大株主やその他個人株主の理解を得られるとは思えない。

この状況を打破したければホワイトナイトの出現が必須でしょう。


出典 xn--ehq97am4hy74e.com

買収防衛策を取らないのであれば、ホワイトナイトが出てこないとTOBを阻止するのは無理なはず。しかし、豊商事の現状を見るとホワイトナイトが出現する可能性も低いのです。決算予測は良いと言えども、衰退が続く先物会社をどこが支援するのでしょうか。

赤字続きの別にプロスペクトからすればホワイトナイトが出てきても利益に繋がるから構わないのですが。

本当に、色々と、おかしい。

これがね、プロレスだったら理解できるんですよ。でもプロレスだと決めつけたらそれで話は終わってしまいますし、ガチンコだという見解も重視して私は様々な説を述べています。

プロスペクトの立場からすれば、「TOBが成立しても成立しなくても構わない。どっちに転んでも利益が出る」というのは他記事で解説したのでもうこれ以上は言及しません。

ただ、今回の豊商事に対するTOBは明らかにおかしいのです。TOB反対と言いつつ買収防衛策を取らない。過去の株価のデータを見ても株主の賛同を得られるとは思えない(豊商事単独で今更株価が伸びると思える要素が少ない)。ホワイトナイトが出現したという情報もない。

もし、今回のTOBが成功すれば日本で名を刻む出来事になるのは間違いないでしょう。

敵対的TOBの成功事例がほとんどないのは事実ですが、今回のケースは相当なレアケースであるため、判断するのが難しいというのが現状になります。なにしろ豊商事がまさかのノーガード戦法を実施してきたのですから。

私は「TOB価格を引き上げれば成立するのではないか?」と予測しています。プロスペクトが当初使用する予定だった太陽光発電の資金を流用すれば良いだけの話ですし、豊商事だって1番ゴネているのは400円というTOB価格でしょう。

プロスペクトからすればTOBが成立しなくても利益が出るので、最初から本気ではないという可能性も考えられます。しかし、金融商品取引業という商標まで作ったプロスペクト。


この情報を分析する限り本気でTOBを成功させるという見方ができてもおかしくないはずです。商標の件が「本気だと見せかけて、実は本気ではない」というアピールだったらお手上げですが。(それでもプロスペクトは利益を出せる)

今回のTOBは異例中の異例です。成功可能性は高いとは私は言いませんが、様々なデータを分析すると成功する要素が多々あるのも確かな事実です。


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