上場廃止したサンシティ(8910)から学ぶ面白い文章の特徴

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昔、サンシティ(8910)という上場企業が存在しました。


出典 1500condo.com

 

「都市の景観を変える」をキーワードを設定して拡大戦略を維持していたサンシティですが、リーマンショックの影響によって業績が大幅に悪化し、資金繰りが悪化して2011年10月27日に東証1部上場廃止が決定しました。

 

 

資金繰り悪化というのは不動産事業を展開している会社にとって大変な痛手であり、リーマンショックの恐ろしさを物語る1つのエピソードになりますが、注目したいのはそんなことではありません。

 

 

当時、代表取締役社長であった小出氏の文章が凄く面白いと思ったのです。

 

以下は元取締役社長の小出氏が公表した文章になります。

 

 

>少しでも業績を伸ばそう、一株利益を上げよう、そして、株価を上げて株主に喜んでもらおう、と思い、鼻息荒く事業に取り組んでおりました。

 

このような、もっと成長しなければ、という強い意志が巨額借り入れの背景にあり、大いに反省すべきことですが、不動産市況はまさに前代未聞のペースで悪化し、空前絶後、阿鼻叫喚の現況と申し上げても過言ではありません。

 

 

当社といたしましても、ここまで金融機関にご迷惑をかけるようなことになるとは、全く想定しておりませんでした。

 

 

利益剰余金を食い潰してしまったことや、当社の財務状況と営業キャシュフローが危機的であることは、悔しいことではありますが、私も認めざるを得ません。
支払面において建設会社と金融機関の協力が必要不可欠と判断し、その必要な協力を得るべく、西へ東へ北へ南へ走りまわった次第です。

 

 

このように西へ東へ北へ南へと奔走して、半期報告書提出にこぎつけたのですが、残念ながら、継続企業の前提に関する重要な疑義を記載せざるをえない事態となりました。

 

 

業績・株価大幅下落、疑義の記載というお恥ずかしい状態の中、お騒がせして申し訳ありません。

 
このような状況になってしまった事に対して、幾重にもお詫び申し上げます。「お詫びは聞き飽きた。」「これからどうするのか。」という株主様よりのお叱りのお言葉、お問い合わせに対しまして、近況をご説明申し上げます。

 

 

このような株価であっても当社を信じて下さっている株主の皆様のご期待に応えるべく、今後も獅子奮迅の精神をもって、立て直しを図ります。


今回このような発表をするに至り、株主の皆様におかれましては、大変な失望と強いお怒りをお感じに違いなく、損切せざるをえなかった株主の皆様、含み損で株価を見るのが嫌になってしまわれている皆様に、まず、深くお詫び申し上げます。

 

 

 

『環境悪化の中、一旦屈んで大きくジャンプするつもりです』と申し上げましたが、屈んだ瞬間に複雑骨折し入院してしまったような状態となり、あまりの恥ずかしさに穴があったら入りたいほどの気持ちです。

 

 

現実を直視した経営判断として、回復には時間がかかると申し上げなければなりません。大変申し訳ありません。

 

 

外資系ファンド・国内系ファンド等による契約解除、利益剰余金をここまで減らし無配転落、株価は約20分の1、と、当社・株主の皆様双方にとって、これだけ厳しい期は今期を最後にしたいと心底、反省しております。

 

損切りしてしまった投資家の方、含み損に耐えてくださっている株主の方に深くお詫び申し上げますとともに、再起決意、獅子奮迅の決意表明を兼ね、今年2回目の社長メッセージとさせていただきます。
出典 http://www.suncity-web.co.jp/company/message_2008August.html

 

 

 

 

 

ごめん、面白いわ。

 

 

 

誠実で、誠意のある株主メッセージに対して「面白い」と述べるのは私の人格が疑われてしまうことを自覚していますが、ごめんなさい。やっぱり面白いものは面白いです。

 

特に「西へ東へ北へ南へ」という文章にセンスを感じており、とても素晴らしい文才を発揮しているなと思いました。

 

特に面白いのが、「『環境悪化の中、一旦屈んで大きくジャンプするつもりです』と申し上げましたが、屈んだ瞬間に複雑骨折し入院してしまったような状態となり、あまりの恥ずかしさに穴があったら入りたいほどの気持ちです」 という文章で、比喩表現がとても秀でていると感じました。

 

 

現在、上記の文章はリンク先を辿っても見つけることができず、私もようやく見つけた希少価値が高いメッセージになります。

 

なぜ小出氏のメッセージが面白いのか?

 

それは「切実に現状を告白し、正直に自分の意見を述べているから」でしょう。

 

基本的に表面を整えた文章は面白くないのです。

 

多くの人にとってニーズがあるのは「本音や心境を明かした文章」であり、東証1部に上場している企業の社長がこのような文章を記載した事実が面白いのです。

 

 

私は小出氏が非常に誠実で、本気で株主のことを想ったメッセージを記載したのだと判断しています。全ての現状を正直に告白し、自分の思いを綴っているのは大変失礼ながらとても面白いのですが、小出氏をバカにするつもりは全くありません。

 

 

やはり、人間は「自分の素直な気持ちを綴った文章」に興味を惹かれるのです。

 

 

大半の企業は綺麗事しか述べませんが、小出氏の凄いところは「正直にありのままの自分を公表した」という事実です。

 

私は小出氏の「正直に、切実に実情を述べた」という部分を大変高く評価しており、だからこそ面白さを感じたのです。

 

残念ながらサンシティは上場廃止になってしまいましたが、私は小出氏のように「正直に現状を告白する経営者」が本当に大好きです。

 

 

小出氏は現在サンシティを率いていませんが、私だったら小出氏のように正直で株主に対して真摯なメッセージを届ける人を応援したいと思います。

 

 

この世は嘘、欺瞞で塗り固められており、「正直者は馬鹿を見る」という言葉が正当化されている悲しい世界です。

 

 

しかし、そんな世界でも小出氏のように正直に自分の心境を告白する人間は存在しており、私も小出氏を見習って正直な思いを綴ることを心がけたいと考えております。

 

「自分の正直な意見を述べている」というのは面白さに繋がるのです。


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