抵抗姿勢を見せる豊商事(8747)。実は追い詰められている?

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プロスペクトのTOBに対し、反対の意見を表明した豊商事。


出典 www.jfox.co.jp

このTOB騒動がプロレスでないと仮定した場合、ガチンコでも豊商事は全てにおいて後手になっていることが分かります。今回問題になっているのはTOBの価格です。

豊商事は「DCF 法に基づき算定を行い、当社の普通株式の株式価値は 913 円~1,013 円と評価できると 結論付けました」とIRで述べていますが、これ、完全にプロスペクトにやられています。

何がやられているって、この株式価格が正当であるのならば、別にプロスペクトは豊商事をTOBする必要がなくなるからです。

要するに913 円~1,013 円の価格で豊商事の株を買い取って貰えば良いですし、それができなかったときはそのままTOBを継続すれば良いのです。もう豊商事は将棋で例えたら詰んでいるのにも関わらず抵抗し続けているのと同じなのです。

今回のTOBは豊商事にとって痛手(プロレスでなければ)であると分析していますが、プロスペクトからすればどう転んでも別に痛くも痒くもないのです。

913 円~1,013 円という株価が適正であると判断された場合、そのままTOBするか否かが問題になります。

余談ですが、東宝不動産裁判の注目点はTOBの買付け価格が安すぎたこと。TOBの公開買付け価格がありえないほど安いから時価純資産法で適正価格を決めるべきというのが訴訟の中心問題になっていますが、豊商事の場合はどうでしょうか。

豊商事はDCF 法で自社株式の時価を評価しています。豊商事の述べる913 円~1,013 円が適正価格であればプロスペクトは大きな含み益を得ることが可能です。

要するに何が言いたいかというと、今回豊商事が狙われたのは「どっちに転んでも良いから」ではないでしょうか。豊商事の述べる株価が適正であれば株の売却を検討することができますし、従来通り400円でTOBできるのであればプロスペクトにとって安い買い物ができたと評価することができます。

東宝不動産の件に関してはTOB価格の算出にあたっては、DCF法により735円が妥当だと東宝側が主張しています。

ソース 1株純資産の半値での不動産管理会社TOBは安すぎる? 8833 東宝不動産

豊商事は反対表明を出してゴネていますが、いくら豊商事がゴネようがあーだこーだ言おうがプロスペクトにとってマイナスとなる要素は非常に少ないのです。

更に注目したいのがあかつきが今回のTOBの鍵を握っていること。

あかつきは自社IRで、「今後、当社といたしましては、公開買付けにおける買付価格等の条件の公正性、豊商事か らの本公開買付けについて表明される意見、豊商事との業務提携による今後の業績への影響 などを検討し、当社の企業価値の向上の観点から慎重に判断を行っていく予定です」と述べており、TOBを否定する立場を取っているわけではないのです。要するにあかつきは高い値段で株が売れれば良い立場に立っています。

プロスペクトの立場で考えても豊商事の述べる株の価格が適正であれば売却を検討して資金を得れば良いだけですし、どちらに転んでも良いのですね。最高のシナリオはTOB成功ですが。

1番の悪手は豊商事が買収防衛策を行う予定はないことでしょう。

これ、はっきり言って1番の悪手(笑)

何が悪手かって豊商事は買収を拒否したIRで「株主共同の利益」について何度も語っているのにも関わらず、買収防衛策を実施しない辺り本当に株主を大切にした経営を行っているかと不信感を募らせる結果になるからです。

私は豊商事が株主を重視した経営を行っているとは思えないんですよねぇ。

よくもまあ「株主共同の利益」に関して言及したものだなと思います。だって本当に株主の利益を考えているのであればPBR0.39倍で放置していること自体がおかしいですし、自社株買いを行なえば良いでしょう。913 円~1,013 円が適正なら自社株買いを行うチャンスじゃないですか!


これは豊商事の10年チャートになりますが、2009年以降ずっと横ばいが続いており、400円に到達したことすらほとんどなかったのに、よくここで株主共同の利益という文言を出せたものだなぁと思います。そもそも株主還元をしなかったら今回TOBで狙われたと考えることもできるのです。

買収防衛策を行う予定はない。

実質的にできないと考えるのが普通ではないでしょうか。

今回買収防衛策を投じて自社株買いを決行したり、大幅増配を行ったりすると豊商事のキャッシュが悪化します。キャッシュが外部に流出したら次、TOBされたときに対処することが困難になります。大体今までずっと株価が横ばいの状態が続いていたのに、豊商事の現経営陣に期待している株主は本当に多いのでしょうか。

そこが注目ポイントです。

別に買収防衛策を行ったとしてもプロスペクトからすれば美味しい結果になるのは目に見えているのですが、だからこそ買収防衛策を投ずる予定がないのかもしれません。今になって色々とゴネているのは「保身」ではないかと私は推測しているのです。

正直なことを言うと、カーティスが豊商事の現経営陣を高く評価しているとは思えないんですよ。

IRでは「現経営陣を支持する」的なことが書いていますが、豊商事だってこんな言葉は信用していないでしょう。だから今回反対の意見を出したのだと思います。

豊商事はとにかく行動が遅い。迅速、臨機応変に動くカーティスとは大違いです。経営スタイルが全く異なるカーティスが豊商事の現経営陣を高く評価しているなんて意味が分からないのです。多分、支持すると述べているのはカーティスのリップサービスではないでしょうか。

それに現経営陣を残しても51%の株を握られてしまえば豊商事だってどうなるか理解しているはずです。抵抗することができないんですよ。だから今抵抗しているのだと思いますが、その抵抗方法が「嫌だと言いつつ買収防衛策は取らない」というのでびっくりしています。

豊商事の株主からすれば買収防衛策を取った方が嬉しいでしょう。

増配を行ったり自社株買いを決行したりすれば自分の持ち株の価値も高まりますから。それすらしないで「したがいまして、株主の皆様におかれましては、本公開買付けに応募されないようお願い申し上げます」は通ると思っているのでしょうか。大株主を既に味方につけているのであれば別ですが……。

今のシナリオで可能性が高いのは、「TOB価格を引き上げてTOBを成功させること」でしょうか。

まあ、買収防衛策を取らないのにプロスペクトがTOBを諦めるわけがないとは思うのですが、色々と謎な会社です。豊商事は。


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