スカイマークの西久保氏は本当に無能だったのか

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スカイマーク (9204)の西久保氏が辞任しました。


出典 gendai.ismedia.jp

スカイマークは資金繰りに困り、自力での再建を断念して投資会社インテグラルの支援を得て再生を図る予定ですが上場廃止になる予定なので株主からすれば夢も希望もないのは間違いないでしょう。

西久保氏に対する批判はとても強くなっていますが、私は西久保氏には良い面と悪い面の両方があると思っています。西久保氏は「お客様は神様」という従来の価値観をぶっ壊してお客様に対し、「出て行ってください」という方針を貫いたことで物議を醸し出しました。

個人的な意見を述べるとクレームをつけまくるお客様が厄介という意見に同意する面も強いです。ただ、お金を払っているお客様を大切に扱わないのはどうかと思いますが……。お金を払っていない人をどう扱おうがそれは自由だと思います。

西久保氏は改革を成し遂げるためにスカイマーク内で徹底した「成果主義」を実践しましたが、最終的な結果を見るとこの改革は功を制すことはありませんでした。

不満を持った整備士が大量に退職し、人材流出を招いてしまったのは西久保氏の失敗でしょう。

しかし、改革には痛みが伴うものなので「離職率が高いからダメ」と考えるのも早計です。不採算な事業をすぐに撤退する姿勢も問題があると批判されていましたが、これは良いと分析しています。むしろ不採算事業を続けて赤字を垂れ流す方が問題ではないでしょうか。

「時間はコスト」という考えを抱き、徹底してコスト削減と効率化に励んだ西久保氏は決して無能な経営者ではないと思うのです。実際にスカイマークは2011年3月期~2012年3月期で2年連続となる100億円を超える営業利益を叩き出す結果を残しましたし、途中まで改革は上手くいっていたと評価することができます。

IT業界で培った経営感覚とスキルは間違いなく高いでしょう。

徹底した効率化の追求という部分も悪い点とは思えません。では、なぜ西久保氏はスカイマークを上場廃止まで追い込む結果を残してしまったのでしょうか。

1番大きな原因として挙げられるのが「読みの甘さ」です。

これは西久保氏に限った話ではないのですが、拡大戦略を歩む経営者は希望的観測ばかり重視して「最悪のパターン」を想定しないことが多く、1度危機に陥ってしまうと対処が難しいことが大半です。

スカイマークが経営不振から脱することができなかったのは為替相場の読み間違えが大きいのです。1ドル=80円前後という円高を前提として大型投資を決断したのが致命的でした。円安、円高はそのときになってみないと分からないのですが、円安になったせいで燃料費や機材費の負担が膨らんでしまったのです。

もし、「今後円安に推移したら燃料費が上がるから堅実な経営を意識しよう」と考えていればこのような結果は訪れなかったかもしれません。

西久保氏の最大の敗因は「良い面を強く意識した拡大戦略」を続けていたからではないでしょうか。ダイエーも上場廃止になりましたが、ダイエーは多角経営が失敗した影響によってイオンの傘下に入ることになりました。

A380の投資は現状を打破するための一手だったはずなのですが、結果を見ると「身の丈に合わない物は買ってはいけない」というのが真実になります。これはスカイマークに限った話ではなく、私達も同じ使命を課せられているように思えてならないのです。

身の丈に合わない物は買わない。

常に良い状況が続くとは限らない。

結局、危機を乗り越えたければ上記の2つを意識するしかないのです。調子が良いときはどんどん投資して拡大していこうという思考になりますが、良い状況が続くことなんて絶対にないのです。

身の丈に合わない物は買わないで固定費を徹底的に削減するのも重要でしょう。西久保氏はコストカット意識が高い優秀な経営者だと思うのですが、「先読みの甘さによる投資の失敗」という形で終わってしまったのが非常に残念です。


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